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咲き終えたラベンダーの、もう一つの仕事

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咲き終えたラベンダーの、もう一つの仕事

咲き終えたラベンダーの、もう一つの仕事

2026/08/22

ラベンダー畑といえば、精油やドライフラワーとして加工される「香料用」のイメージが強い。見頃を迎えた花穂を刈り取り、蒸留して香りを閉じ込める――そうした収穫の光景は、ラベンダーを扱う産地の風物詩としてよく知られている。

しかし、香料として活用しない観賞用畑も存在する。観光客に紫の景色を楽しんでもらうことを目的とした畑では、花穂を精油や香料として出荷することなく、見頃を過ぎればそのまま刈り込んでしまう。香りとして活用されるわけでもないのに、なぜわざわざ刈るのか。この一見無駄に見える作業には、はっきりとした理由がある。

目次

    刈り取った花穂の、ほとんどは精油にならない

    香料用畑では、見頃を迎えた花穂をすべて刈り取り、蒸留にかけて精油を抽出する。しかし、そこから得られる精油の量はごくわずかだ。ラベンダー精油の採油率はおよそ0.5〜0.85%とされ、1kgの精油を得るには約200kgもの花穂が必要になる。つまり、刈り取られた花穂の重量のほとんどは、蒸留を終えると精油以外の残りかすとなる。

    刈らないという選択肢がそもそもない

    ラベンダーは刈り込みをしないまま放置すると、茎が木質化し、株の下部から新芽が出なくなっていく。この現象は、香料用であるかどうかに関係なく、すべての株に等しく起こる。木質化が進めば、その株は数年のうちに見た目も花付きも衰え、最終的には更新(植え替え)が必要になる。

    つまり刈り込みは、香りを採るための収穫作業である以前に、株そのものを維持するための管理作業だ。香料として使われない花穂であっても、株を来年も咲かせ続けるためには、刈らないという選択肢は基本的に存在しない。畑を見る側からすれば無駄なことをしているように感じるかもしれないが、育てる側にとっては、刈ることこそが株を生かし続ける唯一の手段なのである。

    「使われない刈り取り」は無駄ではない

    こうして見ていくと、観賞用畑でラベンダーが刈られるのは、決して無駄な作業ではないことがわかる。むしろそれは、株を木質化させず、翌年も花を咲かせ続けるための管理であり、精油生産とは別軸の、しかし同じくらい重要な目的を持った作業だ。香料用畑での刈り取りはいわば「収穫」だが、観賞用畑での刈り取りは「手入れ」であり、両者は目的こそ違えど、同じ時期に同じ手つきで行われている。

    畑に立って刈り込み作業を眺めれば、香料用畑も観賞用畑も、鋏の下では大きく変わらない作業をしているように見える。しかしその背景には、株を来年につなげるための管理という、地味だが欠かせない理屈がある。香りとして活用されない花穂にも、畑を支える確かな役割があるのだ。

    では、こうして精油や香料に使われないまま刈り取られた観賞用畑の花穂は、その後どこへ行くのだろうか。

    香りを残したまま、捨てられていく現実

    観賞用畑の刈り取られた花穂は、香料として使われないまま廃棄されている。腺鱗の中にはまだ香りが残っているはずで、乾燥させれば活用できそうなものも、そのまま処分されてしまうことが多い。香りを閉じ込めたまま土に還る花穂は、畑の管理という目的こそ果たしているものの、資源としては使われずに終わっている。

    「もったいない」から生まれた固形芳香剤

    この「香りを残したまま捨てられている」という状況に対して、もったいないという発想から生まれたのが、当店の「ふらのラベンダー香るこつぶ」だ。香料として出荷されることなく刈り取られていた花穂を無駄にせず、ペレット状に加工した固形芳香剤である。畑の管理のために刈らざるを得なかった花穂が、廃棄ではなく、香りを楽しむ商品として再び形になる。現在は地域のお土産店で扱われているほか、富良野市のふるさと納税返礼品としても届けられている。ラベンダーの一年を追ってきた最後にたどり着くのは、こうした「刈る」から「活かす」への転換だ。

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